事務所通信
2013年03月 11日 月曜日
同じ1億円でこうも違う
平成25年の税制改正により、相続税が増税になることはご存じだと思います。法はまだ施行されておりませんが、3月中に決議され、4月から施行という流れです。
改正については、1月28日の記事に書いた通り、相続税の基礎控除が大幅に減少することで、相続税の申告対象となる方が増えると思われます。
さて、本題の「同じ1億円でこうも違う」と相続税の改正に何の関係があるのかということについて触れていきます。
相続税は、相続税評価額という特殊な評価方法によって計算します。詳細は割愛しますが、現金で1億円持っている場合は、1億円で評価します。
これに対して、1億円で購入した不動産を持っている場合は、どうなるでしょうか。
戸建てかマンションか、居住用か賃貸用かにもよりますが、仮に賃貸マンションの場合で考えると、相続税の評価では、5,000万円ほどになります。
マンションの場合は、土地(敷地権)部分をマンション所有者の持分で按分しますので、戸建ての場合と比べると土地が少なく、大部分を家屋で所有することになります。
高層マンションになるほど、家屋が占める割合が大きくなります。
では何故1億円で購入したマンションの評価額が、半分になるかというと、繰り返しになりますが、相続税評価額という特殊な評価方法を用いるからです。
土地は、路線価を基にした評価額で、家屋は固定資産税評価額で評価します。
路線価については割愛しますが、固定資産税評価額は、建築費用の60%ほどになります。さらに賃貸マンションの場合は、借家権割合(30%)を控除して評価するため、実質40%ほどの評価額となります。
家屋が大部分を占めるマンションの場合は、家屋の評価額が下がることで、全体の評価額が大幅に下がります。
この通り、相続税の評価の仕組みによって、現金で1億円持っている場合と1億円の不動産を持っている場合とで、こうも違うのです。
ただし、すべて不動産にすれば良いかというとそうではなく、不動産を購入すれば、不動産取得税や固定資産税も発生します。さらに財産すべてが不動産である場合には、相続税を支払う現金がないため、相続対策で購入した不動産を結局手放すということになりかねません。
目先のことだけでなく、将来を見据えたシミュレーションを実施し、将来設計に応じた対策をすることが重要です。
投稿者 nextstageoffice