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2013年03月 18日 月曜日
3月11日の記事で、同じ1億円でも現金と不動産で持つ場合では、相続税額が違うということについて触れました。
今回は、相続対策のひとつである贈与のうち、平成25年税制改正で拡充された教育資金贈与について触れます。
贈与税は、教育に充てるための贈与であれば非課税とされておりますが、数年先までのものを含めて一括で贈与した場合には、課税される仕組でした。
今回の改正で、1,500万円(一定の場合は500万円)までの贈与であれば非課税の対象となることになりました。
ただし、単に贈与するだけでなく、受贈者名義の金融機関に振込み、かつ、贈与年に金融機関を経由した一定の書類を税務署に提出する等の要件があります。
また、預金を払い出した場合には、その払い出した金銭を教育資金の支払いに充当したことを証する書類を提出する必要があります。
注意点として、受贈者が30歳に達するまでに使う必要があり、仮に30歳時点で残っている資金については、贈与があったものとみなされて贈与税が課されます。
分割して贈与することも可能ですが、この規定は、平成25年4月1日から平成27年12月31日までの間の贈与に限られますので、計画をたてて贈与ことをお勧めします。
投稿者 nextstageoffice
2013年03月 11日 月曜日
平成25年の税制改正により、相続税が増税になることはご存じだと思います。法はまだ施行されておりませんが、3月中に決議され、4月から施行という流れです。
改正については、1月28日の記事に書いた通り、相続税の基礎控除が大幅に減少することで、相続税の申告対象となる方が増えると思われます。
さて、本題の「同じ1億円でこうも違う」と相続税の改正に何の関係があるのかということについて触れていきます。
相続税は、相続税評価額という特殊な評価方法によって計算します。詳細は割愛しますが、現金で1億円持っている場合は、1億円で評価します。
これに対して、1億円で購入した不動産を持っている場合は、どうなるでしょうか。
戸建てかマンションか、居住用か賃貸用かにもよりますが、仮に賃貸マンションの場合で考えると、相続税の評価では、5,000万円ほどになります。
マンションの場合は、土地(敷地権)部分をマンション所有者の持分で按分しますので、戸建ての場合と比べると土地が少なく、大部分を家屋で所有することになります。
高層マンションになるほど、家屋が占める割合が大きくなります。
では何故1億円で購入したマンションの評価額が、半分になるかというと、繰り返しになりますが、相続税評価額という特殊な評価方法を用いるからです。
土地は、路線価を基にした評価額で、家屋は固定資産税評価額で評価します。
路線価については割愛しますが、固定資産税評価額は、建築費用の60%ほどになります。さらに賃貸マンションの場合は、借家権割合(30%)を控除して評価するため、実質40%ほどの評価額となります。
家屋が大部分を占めるマンションの場合は、家屋の評価額が下がることで、全体の評価額が大幅に下がります。
この通り、相続税の評価の仕組みによって、現金で1億円持っている場合と1億円の不動産を持っている場合とで、こうも違うのです。
ただし、すべて不動産にすれば良いかというとそうではなく、不動産を購入すれば、不動産取得税や固定資産税も発生します。さらに財産すべてが不動産である場合には、相続税を支払う現金がないため、相続対策で購入した不動産を結局手放すということになりかねません。
目先のことだけでなく、将来を見据えたシミュレーションを実施し、将来設計に応じた対策をすることが重要です。
投稿者 nextstageoffice
2013年03月 04日 月曜日
これまでFXの損益に対して”くりっく365″や”大証FX”などの取引所取引については、申告分離課税が認められておりました。一方、店頭取引によるFX損益は他の所得と合算する総合課税が適用されておりました。そのため最大50%の課税が行われておりました。
2012年の税制改正に伴って、2012年1月1日以後に行われるFX取引については、取引所取引、店頭取引共に申告分離課税に一本化されました。
また、取引所取引で生じた損益と店頭取引で生じた損益とを通算することができるようになり、損失が発生している場合には、3年間繰り越すことが可能となりました。
なお、損失を繰り越す場合には、確定申告書を提出する必要がありますので、注意してください。
【参考】
投稿者 nextstageoffice
2013年02月 25日 月曜日
確定申告時期が過ぎると、いよいよ税務調査が本格的に稼働します。その調査により過年度の申告に誤りがある場合には、本税不足部分に加え、ペナルティーが課されます。
一般的には、本税が不足していることによる”過少申告加算税”と納付が遅延したことによる”延滞税”が課されます。
それ以外に仮装、隠ぺい行為による場合に課される”重加算税”があります。
重加算税は35%、場合によっては40%課されますので、納税者にとっては大きい問題です。原因が仮装、隠ぺいですので自業自得でもありますが。
それ以外に上場審査に影響するなどもあります。
さて、この重加算税ですが、例えば会社が売上を隠ぺいした場合には、法人税以外に消費税にも重加算税が課されます。当たり前ですが、売上の修正によって課税所得(課税標準)が自然に動くので双方とも対象になります。
では、社長の個人経費を会社の経費として計上していた場合はどうでしょうか。
この場合には、会社経費が否認される=法人税増加と社長への賞与漏れ=給与源泉所得税増加のダブルパンチになります。細かく言えば消費税にも影響がありますが、ここでは割愛します。
この場合、法人税への重加算税と源泉所得税への重加算税の双方が課されるかと言えば、そうではありません。
これは源泉所得税の規定上、法人税で重加算税の対象となったものについては、源泉所得税では重加算税の対象として取り扱わないとされているからです。
問題は、調査で指摘された際に、法人税と源泉所得税の調査部門が違うので、それぞれでペナルティを計算することになり、誤って源泉所得税にも課される可能性があるということです。
税金なので早く納めてしまいたい気持ちは分かりますが、納付する前に顧問税理士や税務署に確認した方が良い場合もありますので、ご注意ください。
投稿者 nextstageoffice
2013年02月 18日 月曜日
税務の話と少しそれますが、助成金制度について説明します。
税理士の仕事としては、個人が事業を開始するとき、会社設立後から関与するのが一般的です。事業開始から3ヶ月以内に”青色申告承認申請書”を税務署に届け出ることで、納税者にとって有利な規定を適用することができます。
本題に戻りますが、助成金とは、一定の要件を満たせば、国から出るもので、”返還不要”なものです。
様々な助成金がございますが、その中でも”受給資格者創業支援助成金”は、注目すべきものと考えます。独立して開業される方は、該当する可能性が高いです。
ただし、この制度は、事業開始日(法人の場合は設立登記日)前に労働局に法人等設立事前届出書を提出しなければ適用されません。
この規定は、平成25年3月31日をもって終了しますので、創業を考えている方は、早急に対応することをお勧めします。
専門家に相談すると報酬がかかるという意識があると思いますが、上記の様に所定の時期までに届出書を提出しなければ適用されないものもあります。
事前に相談することで、思いもよらぬ利益をもたらす可能性がありますので、気軽に相談頂けますと幸いです。
【厚生労働省】
http://www.mhlw.go.jp/general/seido/josei/kyufukin/b02-2.html
投稿者 nextstageoffice