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2012年11月 26日 月曜日
相続税では、誰の預金なのか?ということが問題になることが多いです。預金口座の名義人のものと考えるのが普通だと思います。この考え方が税務上は大きな問題となります。ポイントは、預金の出所がどこかということです。税法用語で名義預金というワードがあがれば、このことです。
よく贈与税と勘違いされるのですが、贈与はあくまで「あげます。もらいます。」の双方が意思表示をして初めて発生するものです。名義預金は、贈与の意思があるわけではないので、問題となる可能性が高いのです。税金の対象と思っていなかったものに相続税が課されれば、誰もが驚くとともに納得できないと思います。
具体例を参考にして頂ければと思います。
まずは、子供が小さいときから両親が子供名義の口座に貯金していた場合です。先に述べた通り、預金の出所を考えると両親のものであることは明らかです。このような場合は、贈与契約書を作成し、贈与であることを証明する方法が良いと思います。毎年110万円までは非課税ですので、子供に預金を残すという意味では十分です。契約書にサイン等が必要ですが、未成年であれば親が代理人として締結できます。ただし、印鑑は別のもので作ることや管理方法はある程度注意が必要です。
次に、配偶者が専業主婦(夫)の場合です。稼いでくるのが一方の場合には、生活費として、例えば30万円/月を渡すことがあると思います。全部使いきることも考えられますが、節約して残そうと考える方もいると思います。この場合に注意が必要です。仮に毎月5万円ずつを20年続ければ1,200万円残ることになります。これをもらった側の預金口座に貯金していると、上記同様、名義預金に該当します。繰り返しになりますが、預金の出所がどこかがポイントになります。
名義預金の様に自分が意識していなくても、相続税の対象になるものがあります。相続税増税も騒がれておりますので、生前贈与による対策や潜在的な問題を事前に解決することは必要だと思います。
自分は関係ないと思っている方も知らず知らずのうちに対象となっている可能性もございますので、一度見直しをされてみてはいかがでしょうか。
投稿者 nextstageoffice
2012年11月 19日 月曜日
11月5日に年末調整・法定調書作成のご案内を致しましたが、支払調書のみの作成も請け負っております。支払調書作成が多数発生する場合には、お手伝い致しますので、ご連絡頂けますと幸いです。
さて、年末調整の際に注意する点として、”扶養親族”がいるか否かが挙げられます。よく耳にするのは、103万円以内であれば扶養親族の要件を満たしているという意見です。対象者がアルバイトやパートの方である場合は、給与所得控除65万円と基礎控除38万円がございますので、年間給与が103万円以内であれば所得がゼロとなり、扶養親族の要件を満たします。これ以外にも生計を共にしていること等の要件がございますが、ここでの説明は省略致します。
一方、社会保険の扶養親族は、年収が130万円未満であるという要件がございます。所得税の要件の違いは、所得で判断するか収入で判断するかという点です。所得税の計算上は、月10万円以下の交通費は、非課税として所得に含めなくて大丈夫ですが、社会保険では交通費も含んで計算することになります。年収が130万円以上となると社会保険上の扶養親族から外れ、国民健康保険・国民年金に加入することになります。国民健康保険・国民年金はご自身で納めることになりますので、手取り額を計算する際には注意が必要です。
なお、所得税は1月~12月の所得で判定するのに対し、社会保険は向こう1年間の収入見込で判定します。退職などで今後の収入見込が130万円未満となれば、扶養親族として申請できます。また、健康保険組合に加入している場合には、要件が異なるときがございますので、注意してください。
投稿者 nextstageoffice
2012年11月 12日 月曜日
去る平成24年8月10日の参議院本会議で消費税法の一部を改正する法律案が可決、成立致しました。3月時点の法案では、所得税、相続税の増税案も盛り込まれておりましたが、最終的には、消費税のみが改正されました。
さて、その改正内容は、①消費税率の引き上げ、②事業者免税制度の見直し、③中間申告義務のない事業者の中間申告制度の創設の3点です。中でも消費税率
引き上げは、世間を騒がせている通り、影響が大きいと考えます。
消費税率は、平成26年4月1日から8%に、平成27年10月1日から10%に引き上げられます。ただし、すべての取引で新税率が適用されるわけではなく、一定要件を満たす請負工事契約、貸付契約等には経過措置が設けられており、引き続き5%の税率が適用されます。
ここで貸付契約について注目したいと思います。
貸付契約については、①貸付期間および対価の額が定められていること、②対価の額の変更ができないことが定められている契約を指定日(平成25年10月1日または平成27年4月1日)の前日までに締結すれば、旧税率を適用することが可能です。
“対価の額の変更ができない”契約は、第三者間では実質的に締結できないと存じます。一方、親子間や社長から会社への貸付であれば、それも可能と考えられます。事務所賃貸借などの契約は、先の事業計画に基づいた対価設定をして、長期契約を締結すれば継続的に5%の税率の適用が可能です。
このような事前対策は他にもありますので、消費税増税の影響を抑制するために、増税によるシミュレーション、契約見直し等を実施してください。
投稿者 nextstageoffice